Curved Kitchen in Nature
43 弧線が奏でる心地よいキッチン空間

建物の中心部分に配置されたリビング・ダイニングとキッチン。
円弧形状の建物に沿うようにキッチンがつくられています。
腰壁には建物全体の壁面と同じ杉材の羽目板を使用し、無垢材の自然な風合いを生かすためオスモカラーで丁寧に仕上げました。特にキッチン部分には、赤みの強い材を避け、明るい色調のものだけを選定。ライトグレーのキャビネットと調和しながら、空間全体をやわらかく包み込むような表情を生み出しています。

ステンレスのバーカウンターは意匠的に“浮遊感”を演出するため、あえて隙間を設けて設置しました。エッジのラインを際立たせるために特注加工を施し、シャープで軽やかな印象に仕上げています。
別角度から見ると、カウンターが緩やかなカーブを描いている様子がよくわかります。こうした変形形状のステンレスも、設計段階からご相談いただくことで、木製キャビネットとの納まりや質感のバランスを丁寧に調整しながら製作することが可能です。
キッチン機器はブラックで統一し、空間全体を引き締めながら、素材の質感を際立たせています。

バーカウンターのステンレス天板は、腰壁や壁面の木目を引き立て、素材の表情を一層美しく見せてくれます。
ステンレスは堅牢なイメージがありますが、実はさまざまな素材や色調と相性が良く、空間のアクセントにも主役にもなり得る柔軟性を持った素材です。

収納部分は、扉を斜め手掛けとし、ハンドルを付けない事でスッキリとした印象に。
加熱機器はIHクッキングヒーターのみのシンプルさ。シンクにはソープディスペンサーや浄水器専用の水栓を設け、機能性をアップしました。
円弧形状は奥まで見えないので、2列に分かれたキッチンの間からは、カーブの美しさとその先には何があるのとワクワク感が。

一見サイドパネルのように見える部分は、実はプッシュオープンの扉になっており、この側面からグラス類を出し入れできるようデザインされています。
収納内部にはガラスのスリットを設け、視線を引きつけるアクセントとして空間に軽やかな表情を加えています。
設計事務所「KAMIYA ARCHITECTS」のサイトにてデザインプロセスをご紹介いただいています。https://youtu.be/yKitHWQS-Os